自主的に正しい申告をするため一定の帳簿を備えて正確な記帳をしている人は、青色申告者として所得計算上あるいは申告や納税の手続きの上で多くの特典が認められます。

●青色申告とは
(1) 毎日の取引を帳簿に記録し、その記録にもとづいて自分の所得金額や税額を計算し、申告して納税をする制度です。
(2) 青色申告をすると、税法上数多くの特典が認められ節税になります。
(3) 日常の取引を帳簿に正しく記録することにより、企業経営の動向を正確に把握することができます。経営の合理化・近代化、融資を受ける場合にも大変役立ちます。

青色申告のメリット
1.青色特別控除 →最高65万円の控除
青色申告者になると「青色申告特別控除」として、次の区分に該当する金額を、決算書のなかで所得から控除することができます。
  要件 控除金額
(1) 日常の取引を「正規の簿記の原則」に従って記帳(一般的には複式簿記)し、「損益計算書」「貸借対照表」等を確定申告書とともに提出期限までに提出した場合。 →最高65万円
  (注)不動産所得のみで青色申告をしている方で、適用を受けようとする場合には、その貸付の規模が事業的規模であることが必要です。  
(3) それ以外の場合 →最高10万円

2.青色事業専従者給与 →全額必要経費になります
青色申告者がその事業にもっぱら従事している生計を一にする親族(15歳未満を除く)へ支払う適正な給与については全額必要経費になります。これには「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。(届出書に記載した金額の範囲内で労働の対価として相当な金額が必要経費として認められます)。

3.その他
「純損失の繰越控除と繰戻還付」「更正の制限と更正理由の付記」「貸倒引当金」「特別償却・割増償却」など50項目を超えます。

●青色申告をするには
「青色申告承認申請書」を納税地(原則として住所地)の税務署に提出します。
<提出期限>
(1) これまで白色申告をしていた人 →青色申告をはじめる年の3月15日
(2) これから事業をはじめる人 1月16日以前に開業 → 3月15日
1月16日以降に開業 → 2か月以内

【参考:青色申告と白色申告の税負担の違い】→青色申告が有利です
【青色申告】
【白色申告】
家族構成 夫(事業主) 妻(専従者)
所得金額 年間450万円(専従者給与・専従者控除差引前)
専従者給与 月額 14万円 賞与3.5か月分
社会保険料 年間36万円(国民健康保険・国民年金等)
市町村民税均等割 2,500円
*ただし青色事業専従者は別途所得税と住民税が課税されます。

●帳薄のつけ方
1. 現金出納帳と現金管理
事業上の現金の出入りをありのままに記帳し、その日の取引が終了した時点で現金出納帳の残高と実際の手元の現金在高とを照合することが青色申告の原点です。現金出納帳を正しく記帳するためには、「企業会計と家計の分離」ということをしっかりと認識する必要があります。企業会計と家計の橋渡しをするのが、「事業主貸」「事業主借」という科目です。青色申告会で十分説明を受けて理解しておいてください。
2.簡易簿記
青色申告をするためには、現金出納帳だけをつけていればそれで良いというわけではありません。青色申告者は青色申告決算書を作成しなければなりません。青色申告決算書がすぐ作成できるよう日頃から心要な帳簿を整えておくことが大切です。決算書の「損益計算書」が作成できる程度の簡単な記帳方法を簡易薄記といい、具体的には、@現金出納帳A売掛帳B買掛帳C経費帳D固定資産合帳の五つの帳簿が「標準簡易帳簿」とされています。
3.複式簿記
青色申告特別控除のところでふれた 「貸借対照表」は、簡易簿記では簡単には作成できません。複式簿記で記帳すれば「損益計算書」と「貸借対照表」を簡単に作ることができます。皆さんはこれから帳簿の付け方を覚えようという意欲があるわけですから、最高55万円の青色申告特別控除の適用を受けるためにも最初から複式簿記で記帳されることをお勧めいたします。各会では、複式簿記の講習会を開催するなどして複式簿記の普及にカを入れておりますので、ぜひチャレンジしてみてください。さらに、青色申告会が開発したパソコン用会計ソフト「ブルーリターンA」を利用すると、手間をかけずに簡単に複式簿記で記帳できます。
 

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